NO.10 御機嫌ななめの小ベンツおやじ (長野県)修那羅山石仏郡

長野県上田市から、西へ18キロくらいの所に、修那羅峠という峠があり、そこに石仏で有名な安宮神社がある。もう、かなり昔の話になるがそこへ行った時の事である。

車で行ったのであるが、地図を見ながらようやく神社の下のバス亭まで辿り着いた。そこには、車が2.3台停められる位のスペースと、大きな看板があった。案内図を見ると、左の道を来いと書いてある。歩いて来いとも、車で来いとも書いて無い。持参のガイドブックには、徒歩20分と書いてある。

左の方に、滑り止めにギザギザのついた舗装道路があった。狭いしかなりの急坂ではあるが、車でいけない事も無い。20Mから先の方は道が曲っていて、見えない。当時の私の車は、小型の1BOXカーだったが、なにせ10人乗りの土方用のマイクロバスに畳みを敷いた、お座敷ワゴン車だったので、普通よりちょっとだけ長い。そのため急カーブはちょっと苦手。

しばらくは、誰か通らないかと待っていたが、あいにくとひとっこ1人、車一台通らない。撮影機材がなければ車を置いて行くんだが、いつもの事ながら、エーイ、ママヨとばかりに、車を発進。50メートル位走ったら、先の方が見えて来た。あと100メートル位だろうか、ほとんど真直ぐで、かなりの急坂である。まるで熱海か小樽の手宮坂のようなきつさである。

右側が山で崖になっていて、左はガードレールだ、下の方に田圃が見えるが、とにかく狭い。また30メートルくらい進んだが、あまりの狭さに「もはやこれまで」と、観念して車を止めた。狭い所でバックするのは前進するより苦しいが、車がぼこぼこになるよりはまだまし。

バックしようと後ろを見たら、遠くに小ベンツが登って来るのが見えた。自分の事は棚に上げて「よくこんな所を登って来るものだ」と思ったが、退路も断たれてしまい、ふたたび「もはやこれまで」。

急坂で狭い所では、一度止まったらおしまいである。多少のぼこぼこはしょうがないかと思い、スピードを上げて一気に登った。手に汗をにぎって、久々のスリルとサスペンスであった。運がいいのか、腕がいいのか、とにかく上手くいった。

小ベンツも無事登って来た。中年の夫婦が乗っていた。「う〜ん、たいしたおやじジャ」、わたしは感心して、小ベンツおやじに声をかけた「いや〜、よくこの狭い道を登って来られましたね〜」、すると、小ベンツおやじは「あんたが先に登って来たからジャよ」と、何故か怒っているんです。無事に着いたのに変なおやじだ、と思ったら、隣にいた奥さんが、「いえ、なにね、この人あっちこっちゴリゴリこすって来たんですよ」。

そこへ、神社のおかみさんらしき人が出て来て、「最近裏の方に、広くて良い道が出来たんですよ」と教えてくれた。それはそれは観光バスも通れるりっぱな舗装道路であった。

もう、だいぶ、むかしの話しですが。 (長野県酒井村、修那羅山にて!)

下は、上田市野倉の夫婦道祖神と赤地蔵

リンク先/長野県坂井村のホームページへ

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