電車は電気で走る、当たり前の事だが電車の屋根の上に付いているパンタグラフから、電線(架線と言う)の電気を取り入れて、モーターを回して走る。
家庭で使う電気はプラスとマイナスと2本あるのに、線路の電線は1本ではないか?と疑問に思う人もいるかと思う。
線路の電線から入った電気は、電車を動かした後、レールを通って帰って行くのである。
だからといって、線路のレールに触っても感電はしないので、ご安心を。
電車といっても日本全国どこでも同じ電気で走っている訳ではない、交流や直流、電圧や周波数や異相の違いなどバラバラである。
電線も電気の種類によって、一定区間ごとに区切られている。
この区間と区間の境めでは、電車は電源を切って次の区間まで惰力で走行しなければならない。
この電源の切り替えのところを、電気のない所という意味で「デッドセクション」という。
在来線に乗っている時、、突然電気が消えて、「あれ!」と思っていると数秒後には又点灯する、これが 「デッドセクション」通過時である。
新幹線では電気が消えたりしないので、まず気が付く事は無い。
あるのどかな春の日に、新潟県の村上市にある、羽越本線のデッドセクションを撮りに行った。
ちょうど線路脇に菜の花が咲いている畑があり、黄色い菜の花を入れて上りの新潟行の特急「いなほ」を撮る事にした。
列車通過まで時間があったので、近くの村上駅前でゆっくり昼食をとった。
さて、そろそろかと菜の花の咲いている畑に戻ってみて、びっくり。
その畑には農家のおばさんがいて、せっせせっせと菜の花を鎌で苅っていた。
特に私が前景にと思っていた所は、スッポリと歯が欠けたようになってしまった。
列車の時間もせまっていたので、「写真を撮りたいので・・・」と取りあえず苅り取った菜の花の「使用許可」をもらって、10本ばかりの菜の花をズボズボと生け花のごとく畑に刺していった。
それからあわてて三脚を立て、カメラをセットし終わったところに、タイミング良く「いなほ」が通過、で、パチリ。
畑の持ち主も最初は、「この人はいったい何をしているんだろうか?」と不思議そうな顔をしていたが、
撮影が終わって顔が会った時には、「なーんだ、そう言う事だったの!」と納得の表情で笑っていた。
このデッドセクションのある場所は、JR村上駅の北側すぐの所にあり、下り列車に乗ると発車してまもなく車内灯が数秒間消えるので、すぐに気が付く。
後年、私の母が新潟から秋田に向かう列車の中で、急に体の具合が悪くなり、JR村上駅に途中下車をして、駅舎で休ませてもらった事があった。
その時駅員の方にお世話になり、「あんなに親切にして貰った事はいままでに無かった」としみじみと話していた。
旅先での病気ほど、心細いものは無く、また旅先で受けた人の親切ほど心が癒されるものは無い。
おかげで母は、元気を取り戻して次の電車で帰る事が出来た。「ありがとうごさいました・・」
さて、この村上市は新潟県の北に位置し、村上藩の城下町として栄え、静かで趣きのある街角など、いまだに風情のある雰囲気が残っている。
皇太子后雅子様の実家「小和田家」ゆかりの地でもあり、そして特筆すべきは、特産の三面川(みおもてがわ)の「鮭(さけ)」である。
ここ村上では、世界で初めて、鮭が生まれた川に戻って来る事を発見した所で有名である。(どうして解ったのでしょう???)
以来鮭の町として発展をとげ、街を歩くと1年中鮭が軒にぶら下がっているのを見る事が出来る。
街の北外れにこの三面川が流れており、国道7号線を車で走っていると、三面川に架かる橋があり、これを渡り切った所にドライブインがあった。
初めて入った時に、かつどんを頼んだ。
「はい、どーぞ」、と出て来たカツ丼を見てびっくり、いつもの見なれたあのカツ丼の姿ではないのである。
見た目は天丼だが、中身はまぎれもなくカツである、簡単に言えば、天丼の海老のテンプラがとんかつに変わっただけの事。
見た目、さびしい、サッパリしすぎ、言ってみれば、天丼の海老のシッポが無いようなもので、何故か落ち着かない。
ふつうのカツ丼より、タマネギと玉子とグリンピースが3個足りないのである。
味は、普通のカツ丼とはちがう、またトンカツ定食のトンカツの味とも違い、どちらかというと天丼の味に近い。
不思議なカツ丼ではあったが、この地方ではこのカツ丼が普通なのかもしれない。
それからというもの、ここを通る時は決まってこのドライブインに寄るようになり、具の少ない「カツ丼」を頼むようになった。
残念な事に、数年前ここを通ったらこのドライブインが無くなっていた、確か「三面川ドライブイン」という名前だった。
私は、旅に出ると名の知れたファーストフード店には入らない、その土地のにおいのする店を選ぶ。
味やサービスに当たりも外れもあるが、それはそれで楽しいし旅に来たという実感がする、まさしく「物よりこころ」である。
国道7号線を走っていて、急ぐ旅でなかったら、村上から鼠ヶ関(ねずがせき)までの区間、国道345号線を通る事をお勧めする。
この345号線は、海岸線を走り気分爽快、途中には、国の名勝「笹川流れ」という美しい風光明美な景色も見られ、新潟県内では、第1級の海岸美を誇っている。
母は、毎年秋になると、白菜の種を蒔く。
秋になってから蒔くので、冬までには店で売っているような大きさにはならない。
そのままほうって置くと、春になって桜の花が咲く頃、塔が立って菜の花が咲く、それを「塔菜」と言っておひたしや油炒めにして食べるのである。
この写真は白菜の菜の花。

蕾みの内に摘むと、どんどんわき芽が出て来ていくらでも増える。
その白菜の苗をプランターに植えて置くと、春に菜の花が咲く、村上での失敗を教訓に次の年から、自分で「菜の花畑」を作る事にした。
多い時には、10箱くらいのプランターを車に乗せて撮影に行く。
車の中は菜の花のかおりいっぱいで、私の後の車の人は、私の事を花屋さんだと思っていることだろうて。
下の写真は、持参の菜の花をカメラの前に並べて、秋田新幹線こまちを流し撮りしたものである。
今年の秋は、暖かい日が続いたので、白菜の1部は「まともな白菜」になってしまったので、食べてしまったが、まだまだ小さいのもある、来年の春が楽しみである。
流し撮りとは、遅いシャッターを切って、動いている物をカメラで追い、止まっているものをぶらす撮影方法である。
仕上がった写真は、動いているものが止まって見え、止まっているものが動いて見える。
成るべくスローシャッターを使った方が良いが、上手くいかないと両方共ぶれてしまう。
列車のスピードは、遅い方が撮りやすいので、急カーブや駅の近くが良いが、特にカーブの内側が角度的にみてベストポジション。
背景は列車よりも暗くないと、列車が消えてしまうので注意が必要。
さてそれでは、シャッター速度はどのくらいがいいかというと、列車のスピードによるから何とも言えないが、まあ1/60以下。
カメラは、焦点が固定できる銀塩カメラがベストで、デジタルカメラはプロ用以外はとても無理、三脚も必要。
さて、今回の新幹線の撮影だが、フイルムは横に長い中判のフィルムの、6cm x 12cmのサイズを使った。
カメラは、図体の大きなスタジオ用のビューカメラ、フイルムは低感度ASA50のリバーサルフイルム(フジのベルビア)。
カメラの上部に、園芸用のアルミ線を使って照準を2本立てた。(1本は右方向用、もう1本は左方向用)
新幹線がスピードを落とす急カーブの所で、なおかつ長時間車を止めておける場所、そしてカメラの前には、自前の白菜の菜の花が置けるスペースがある事。
背景は黒っぽく、かといって黒一色でも流動感が出せないので、そこそこ他の色も混じっている場所を選んだ。
天気の良い日を選んで、手前のコンビニでとびきり旨そうな弁当を買って、ちびちびとお茶を呑みながらの撮影である。
秋田新幹線は、だいたい上下併せて30分に1本なので本や剣玉などの退屈しのぎのグッズも必要。(あと目覚まし時計も必須)

前景に白菜の菜の花を置いて撮った秋田新幹線。(人の家の畑に入る事も無く、撮影場所を自由に選べるので大変重宝している)
この写真のジグソウパズルが出来ました。
小和田家情報⇒村上市のHPへ! 村上の鮭情報⇒うおやHP(越後村上と鮭)へ! デッドセクション情報⇒OyamartsのページHPへ!/村上のデッドセクションへ!